パッドの話(1)
ここで少しパッドの話をしてみよう。組長が知っている範囲で、だ。
パッドというのは前出のように、2液の化学反応によって成り立っている。
ポリオールという主原料と、イソシアネートという反応材料、実質それに触媒というものが必要であり、これらが合わさって、通称ウレタンというものになる。
ポリオール、これはエポキシ接着剤でいうA液であり、実質的な人体への害は無く、これがパッドの主材となっていく。
イソシアネート、これには害があるらしく、人体に触れるとよくない、らしい。
エポキシ接着剤のB剤みたいのものであり、においがきつい。
’取り扱い注意’の物である、が組長はアンドレに指示されて、原料交換中に頭からかぶってしまった事がある。
触媒については、ウレタンの’泡’になるものである。
2液が混ざり、反応熱+温調(型を暖めておく)の温度で、液体から気体に変化する、これがぶつぶつの泡になり、中空部分が出来上がる。
昔のウレタン発砲の触媒はフロンであったが、今では温暖化対策の為に水(H2O)に変わっている。
フロンを使えた時代にはパッドの性能の調整は、フロンの種類を変える、投入量を変える、といった様に、非常に簡単であったが、水では種類を変えても(エビアン、森の天然水??)意味が無いので難しくなってきたのである。
また、この’泡’についても種類がある。
泡同士がくっついており空気が流れる物、これを’連泡(れんぽう)’という。パッドになった時の’バネ感’は実質、泡ではない部分の剛性によって得られる。
それに対して泡同士が離れている物、これを’独泡(どっぽう)’という。一回押しつぶされるとお互いの泡の間はつながるが、あくまで弁のような状態が保持される為、感触としてはネチョッっとした物になる。
当時、独泡の技術は高度な技術であり、それはNASAで開発されたものでNASAウレタンと呼んでいた。
現在では一般技術となってしまい、猫パンチが’各駅妻’に買ってやっているベット、あるいは、パソコンのケースとして世の中に出ている。
2004年7月23日