お客が磨くの?
組長の仕事仲間に、○馬県は△田にある×和◇業という木型屋がある。
定盤4枚、NC加工機3台、CAD6台他を持ち、作業者40名ほどのそこそこの規模を持つ木型屋である。
付き合いとしてはDK時代からで、モデル製作でやり取りがあり、まあ、長い付き合いではある。
ある日、例によってマスター作成の打合せがてら、遊びに行った。
組長は作業場が好きだ。
色々な物を見て勉強することが出来るからである。
その日も’大変、勉強すること’ができた。
定盤上に乗っているモデルを見て回る。
こんな時、他業者の冶具構造を見て(盗んで)おくのである。
マスター、検査冶具、組み付け冶具、普段とあまり変わらない。
NC加工機の方に行ってみる。
ふと、ワークを見ると高さ30cm程度の人形みたいなものを削っている。
セット冶具がものものしい。
普通、この程度のものではこんなたいそうなセット冶具は作らないはずだ。
加工前置き場を見ると、人形になる前の木材が、沢山置いてある。
(200個くらいかな)
完成品置き場を見ると人形みたいなものが、沢山できている。
「なにを’量産’しているんじゃ?」
よーくみると加工ピッチが非常に粗いのである。
Φ10位のツールで加工している。
通常、木材の仕上げだと0.7mm程度のオフセットにするはずなのだが、今回のは4mmはあるのでは?
オペレーターに聞いてみた。
「これって、粗加工?」
「違いますよ。これで完成品ですー」
「??????」
事務所にもどり、工場長に聞いてみた。
「あの、人形みたいなのって?」
「あー、あれね、あれで納品!」
「なんでー??」
どうやら、どっかの新興宗教団体からの発注ということである。
あれは、宗教の神様ということで、信者が磨いて完成品にしていく、ということだ。
話によると、信者に一体数万円で販売をし、完成度チェックのたびに、いくらかのお布施を要求する、との事だ。
「で、お宅はいくらで出してるの?」
「うちは一個○百円!」
さすがは新興宗教である。
2004年8月7日